両親の訃報に接した安藤 渡(あんどう・わたる)は、ヨーロッパでの料理人の修行を切り上げて、3年ぶりに日本に戻ってくる。  突然の交通事故で帰らぬ人となった両親。そして二人が遺したのは、オーナーシェフであった父が経営していた、小さな洋食屋『隠れうさぎ』だけ。 修行を中途で投げ出してしまった主人公を正式にコックとして雇ってくれるような名店もあるはずはなく、だからといって、修行に戻る為の資金も付き合いも無い。 そこで彼は、『隠れうさぎ』で、修行途中の自分の腕前を試してみようと思い立つ。  だが、食堂の経営は、やはりうまくいかない。 料理の腕前は良いものの、経営者としての手腕は全く持ち合わせてはいなかった。 そんな時、見かねた近所に住む幼馴染の此那幡 恵(こなはた・めぐみ) が手伝いに来る。  彼女とは、留学して以来、3年ぶりの再会であった。  別れた時とちっとも変わっていない恵との再会の挨拶もつかのま、彼女はウェイトレスとして『隠れうさぎ』で働きたいと申し出る。  とはいえ、ウェイトレスとしての技術経験が全く無い彼女。生来のドジな気質も手伝って、劇的に状況が変わることは無かった。 そんな中、がっかりする渡を元気づける為、恵は渡にキスをする。 渡は突然のことにびっくりし、抵抗する間もなく、キスをしてしまう。その翌日、小さな幸福が訪れ、店の経営は少しだけ好転する。 その後、彼女が渡を元気づける度に、不思議と店の経営が好転していくのだった。 無邪気に喜んでいる恵を見守りつつも、 反面、事態を訝しむ渡であったが、 こうして、 恵との二人三脚の『隠れうさぎ』の運営を開始するのであった。